先日、映画「キネマの神様」を観に行った。山田洋二監督大ファンの私は、山田監督の作品はほぼ観ている。さて、この「キネマの神様」は、カウンセラーとしては、まず沢田研二扮する主人公のアルコール依存症、ギャンブル依存症に関心をもった。映画の中でも言われていたが、依存症は「脳の病気」である。飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの行為を繰り返すことによって脳の状態が変化し、自分で自分の欲求をコントロールできなくなってしまう。だんだんと飲酒や薬物使用、ギャンブルなどの行為を第一に考えるようになってしまい、他のことがおろそかになり、社会生活をしていく上で優先しなければいけない色々な活動を選択することができなくなっていく。その結果、自分や家族の健全な社会生活に悪影響を及ぼすこととなる。また、その主人公を半ば許容し、厳しい態度に出られない妻との関係も共依存と言えるかもしれない。

 そんな主人公が、孫の助けで、自らが若かりし頃、書いたがお蔵入りとなった映画の脚本「キネマの神様」を現代風にアレンジして世に出すことにより、実力が認められ(承認欲求)、家族からも受け入れられ(社会的欲求)マズローの提唱した5段階欲求の「自己実現」をするのだ。そういう意味では、孫のフォローで人生を再生していく物語とみていいだろう。

 かくいう私は、プロのカウンセラーになるという自己実現をしつつ、勝っても負けても毎回試合を見てしまうカープ依存症かもしれない。しかし、社会生活は続けているので、罪はないだろう。