最近、「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」という本に出会いました。著者は精神科医で作家でもある帚木蓬生さんです。私にとっては難解で、正直、読み飛ばした部分もあります。
しかし、カウンセリングにとても役立つところもありました。いろんな、クライアント(相談者)の方がおられますが、昔からの重い悩みを抱えられて、とてもそのことの解決が困難な場合もあります。何度も何度もフラッシュバックしてクライアントさんを苦しめているのです。うつ状態や不眠などは医療の力を借りて、ということもありますが、そういう方がカウンセリングに来られて、カウンセラーとしての力不足を感じることもありました。
この本を読んで、精神科医でも心を癒せない場合、「日薬」と「目薬」の重要性を語られていました。「日薬」とは文字通り、日にち、時間の経過です。ではここでいう「目薬」は
目に差す薬ではなく、ちゃんと目であなたのことを見ていますよ、気にかけていますよという意味です。
答えの出ない、どうしようもない問題を抱えた場合、何度でも何度でも、時間が長期にかかっても、そのクライアントさんの話に耳を傾けること、それが、クライアントさんがその悩みに耐えられることにつながる、そういうことをこの本から学びました。
すぐには解決しないことでも、粘り強い傾聴、共感、受容が大事であることを再確認させられた本でした。